日本は地震や台風など、自然災害が多い国です。災害が起こった場合に備えて、自分や家族が生活するための水や食料は欠かせません。家族と暮らしている場合はもちろん、一人暮らしでも非常食の準備は大切です。この記事では、非常食の選び方や具体的な食品例、効率的な保管方法まで解説します。
記事を読めば、正しい非常食の選び方と準備方法がわかるため、災害が起きても落ち着いて行動できます。自然災害が年々増加している日本で安心して過ごすために、適切に非常食を準備しましょう。
災害が起こったときの命綱となる非常食の重要性

人は食料なしでは生きていけません。非常食は、災害発生時や予期せぬ緊急事態における大切な食料です。通常利用しているスーパーやコンビニは災害が起こった場合、何日後に復旧するかわかりません。
熊本地震を例に挙げると、災害発生から9日経っても約2割のスーパーが営業再開できませんでした。備蓄も炊き出しもない場合、9日間飲まず食わずで過ごす可能性もあります。
農林水産省は、非常食の備蓄は最低でも3日分、できれば1週間分の備蓄が望ましいとアナウンスしています。万一の災害に備えて、今日からでも非常食の準備を始めましょう。
近年の日本は、豪雨や土砂災害が徐々に増加傾向にあります。土砂災害の発生件数は、1900年代と比較すると約1.5倍です。「自分には関係ない」と考えるのは危険です。「災害は身近に起こり得るもの」という認識を持ちましょう。
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非常食になるものの選び方

非常食の選び方は、いくつかのポイントがあります。非常時はガスや電気、水道などの通常のインフラが使用できない状況が想定されます。インフラ使用不可の状態でも食べられるものや、調理ができるものを選ぶことが必須です。
非常食を選ぶポイントは以下のとおりです。
- 常温で長期保存ができる食料
- 栄養バランスがとれている食料
- 簡単に食べられる食料
- 管理や入れ替えが簡単な食料
常温で長期保存ができる食料
非常食は基本的に年単位で保存する必要があるため、常温で長期間保存できるものを選びましょう。非常時には冷蔵庫、エアコンなどが使用できない状況も想定されます。電気が使えない夏の高温多湿状態でも腐らないものを選びましょう。
保存期間は、開封前の賞味期限が少なくとも1年以上ある食品を推奨します。缶詰やレトルトパウチ食品、ドライフルーツなど水分を抑えた食品が代表的です。劣化防止に特別な包装によって空気や湿気から保護されているため、常温長期保存が可能です。
栄養バランスがとれている食料

非常食は栄養素をバランス良く含んでいるものを選びましょう。非常時には、通常の生活とは異なるストレスや体力の消耗が増えます。エネルギー源としての炭水化物だけでなく、タンパク質やビタミン、ミネラルなど、バランスの取れた栄養素を意識してください。
各栄養素の主な働きは以下のとおりです。
- 炭水化物、タンパク質、脂質の三大栄養素
- エネルギー供給と飢餓感の抑制。非常時の活動を支え、体力維持に重要。エネルギーの迅速な補給を助ける。
- 食物繊維
- 消化器系を健康に保ち、便通を促進。体調不良を防ぎ、ストレスを軽減する。
- ビタミンやミネラル
- 体の機能を正常に保つ。体調を維持して、免疫力向上や代謝を促進する。
- 水分
- 非常時における生命維持に欠かせない要素。体温調節や栄養素の運搬、老廃物の排出を助ける。
栄養素を踏まえたうえで、味や食感にバリエーションがあると飽きずに食べ続けられます。栄養バランスがとれた非常食を選べば、非常時でも体調を崩さずに活動できます。
簡単に食べられる食料
調理不要もしくは調理が簡単な非常食を選ぶことは重要です。非常時には調理器具が使えない状況が想定されるため、調理せずに食べられる食料や、簡単な調理で食べられる食料が適しています。
完全に水や調理なしで食べられる非常食の例は以下のとおりです。
- 乾パン
- ドライフルーツ
- 缶詰
- 飴玉
水で戻すだけで食べられる食品などもあります。ドライカレーやスパゲティなど、水を入れるだけの食料でもバリエーションに富んだ非常食が販売されています。
非常時でも温かい食事をとるためには、非常用コンロや非常用発熱パックが必須です。非常用コンロは非常時でもお湯を沸かし、温かい食べ物や飲み物を作れます。非常用発熱パックは、水を注ぐとすぐに発熱が開始され、約15分間98℃を保つ道具です。携帯性にも優れ、非常時に食材を温める道具として役立ちます。
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管理や入れ替えが簡単な食料

非常食は、基本的に非常時以外は場所を取ります。管理しやすくするためにコンパクトな非常食を選びましょう。非常食は食品のカテゴリごとに賞味期限が異なります。賞味期限が切れる前に入れ替えが必要になるため、賞味期限が同時期の食料を段ボールにまとめておくなどの工夫をしましょう。
コンパクトなサイズであれば収納場所も節約でき、賞味期限が長ければ入れ替え頻度は少なく済みます。アレルギー情報や食品添加物の有無をチェックし、家族全員が安全に食べられるものを選びましょう。アレルギーを持つ人が食べる非常食を準備する場合は、アレルギー表示の確認が必須です。
非常食になるものをカテゴリ別に紹介

非常時でも栄養バランスの取れた食事をするためには、非常食のカテゴリを理解することが大切です。
非常食のカテゴリは大きく以下の4つに分類されます。
- 主食
- 副菜
- ビタミン源・食物繊維
- 水
主食
主食はエネルギー源となるため、非常時に力を保つ役割があります。適切な主食を準備して、非常時の活動のもととなるエネルギー源をしっかりと確保しましょう。主食として最も一般的なのは白米です。非常用の白米は、アルファ米が非常に優れています。
アルファ米はあらかじめ炊いて乾燥させた米であり、水を加えるだけで食べられます。お湯を準備できない可能性のある非常時にはとても便利です。缶詰のパンやパスタは開封してそのまま食べられる手軽さが魅力です。エネルギーバーや非常食バーは小さくても栄養価が高く、手軽に短時間でエネルギー補給できます。
カップラーメンやカップそば、カップうどんといったインスタント食品も非常食として便利です。熱湯を注ぐだけで食べられるため、調理の手間が省けます。インスタントの麺類を備蓄するときは、非常用コンロなどのお湯を作る道具も用意してください。
副菜

副菜は、栄養バランスを整えるために主食と一緒に準備しましょう。
非常食に適している副菜は以下のとおりです。
- 缶詰・レトルトパウチ野菜
- 乾燥野菜・フリーズドライ食品
- インスタントスープ・味噌汁
- ビニール袋入りの漬物
- ふりかけ・乾燥海藻
タンパク質やミネラルを含む副菜の準備は、非常用として販売されている缶詰や乾燥食品、パウチ加工されている食品が適しています。非常用として販売されている缶詰などは長期保存が可能で、栄養価も高いものが多いです。非常時でも調理不要で、主食とあわせて必要なビタミンやミネラルを補えます。
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普段から食べているものや好きなものを保存食にするのもおすすめです。好きなものを非常食に加えることで、非常時のストレス対策や気持ちを落ち着ける効果があります。
ビタミン源・食物繊維
ビタミンが不足すると、倦怠感や疲労感、めまい、頭痛、動悸、息切れ、便秘、下痢などの症状があらわれる可能性があります。食物繊維は消化器系の健康を維持し、便通をよくします。消化に時間がかかるため、腹持ちがいいなどのメリットもあります。ビタミン類と食物繊維を摂り、非常時の体調不良を回避しましょう。
ドライフルーツやナッツは保存性が高くビタミンが豊富なため、非常時のビタミン源として欠かせません。ドライフルーツは食物繊維も多く含まれるため、腹持ちがよく満腹感を持続させます。
缶詰や瓶詰のフルーツも開封して簡単に食べられるためおすすめです。水分が多く含まれるので、非常時の水分不足対策にもつながります。
水
非常時の水分補給は最も重要です。人は少なくとも1日に2リットルの水を摂取する必要があり、飲料水は人間にとって欠かせません。非常食の中に水を用意し、非常時に必要な水分をしっかりと確保しましょう。保存用の水の賞味期限は2~3年、長いもので15年保存できるものがあり、入れ替えも少ない回数で済みます。
非常時とはいえ、単純な水だけでは吸収効率が悪かったり、精神的に満たされなかったりします。非常時の水分補給や家庭内に赤ちゃんがいる場合は、水に混ぜるパウダー製品も合わせて準備しましょう。スポーツドリンクパウダーや粉ミルクが長期保存に適しています。
非常時は、飲料水以外の水の確保が必要な場合もあります。簡易トイレ用の水の備蓄も必要です。長期間清潔な水の確保が困難になった場合のため、水を消毒する非常用浄水器の準備をすることも一つの方法です。
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非常時でも慌てないための「ローリングストック」備蓄法

非常食はローリングストックを使って管理しましょう。ローリングストックは、日常の中で消費期限が近い非常食から順に食べ、食べた分を補充していく方法です。古くなった非常食を新たに補充し、非常食を常に新しい状態に保ちます。
ローリングストックのメリット
備蓄品を定期的に使用すると、非常時に古い食品や傷んだ食品を食べるリスクをなくせます。平常時に非常食を試食して、アレルギー情報や健康状態に応じた非常食に入れ替えられるメリットも大きいです。
非常食の廃棄をほぼゼロにできるため、購入した食品がムダになりません。非常食を定期的に食べ、普段から慣れ親しんでおくことで非常時のストレスも軽減できます。
ローリングストックを行うために、非常食の保管はわかりやすく出し入れしやすい場所にしましょう。非常食は「何年も前に保管して置き場所がわからない」「物置の奥底に置いて緊急時に取り出せない」などのケースが多いです。平常時の落ち着いた状態で、実用的な保管場所を検討できるタイミングにもなります。
日常生活にローリングストックを取り入れる方法
ローリングストックでは、非常食に加えて日常で食べている食料を加えるとより効果的です。普段から食べている賞味期限が長めのものを少し多く購入し、ストックとして使用していきましょう。日常食と非常食を合わせてストックしておくと、非常時にも日常の食料を食べられます。
ローリングストックをするときは、出し入れがしやすい場所に分散して収納しましょう。非常時は扉が開かなくなったり災害の影響で非常食が破損したりして、ストックしていた非常食が使えなくなる可能性があります。分散して収納すると、非常食が一度にすべて使用不可能になるリスクを軽減できます。
ローリングストックの手順は以下のとおりです。
- プラケースなどにまとめてラベルを貼る
- 非常用コンロなども合わせて保管する
- 賞味期限が近くなってきた非常食を日々の食事で使用する
- 使用した分は必ず補充し、一定量の非常食や燃料を常にキープする
非常用コンロは事前に使用し、使用方法や不備がないか確認しましょう。ローリングストックを行うと、平常時に非常食の問題点や改善点が見えてきます。定期的に改善し、より安心安全な非常時の備えをしましょう。
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非常食についてのよくある質問と回答

いざ非常食を準備するとなると、いくつかの疑問が出てきます。
非常食についてのよくある質問は以下のとおりです。
- 非常食はどれくらい備えるべき?
- 非常食の賞味期限は何日くらい?
- どのような場所に非常食を保管すればよい?
- 賞味期限が切れていたら食べられない?
- アレルギーを持つ人向けの食品はある?
- 非常食はペット用にも必要?
- 非常食のパッケージが膨らんでいるが大丈夫?
非常食はどれくらい備えるべき?
災害発生から救助体制が整うまでおよそ3日はかかるため、最低でも3日分の非常食を備蓄しておきましょう。実際には、食料調達が困難な状況も考えられるため、1週間分の備蓄をしておくとより安心です。山中や離島など、地域によっては救助に時間がかかる可能性もあります。状況に応じて備蓄量を検討しましょう。
重要なのは飲料水で、1人1日3リットルを目安に準備が必要です。家庭の人数に応じて必要な水分量を以下の表にまとめました。
| 世帯人数 | 3日分 必要量(2Lペットボトル換算) | 1週間分 必要量(2Lペットボトル換算) |
| 1人 | 9L(4.5本) | 21L(10.5本) |
| 2人 | 18L(9本) | 42L(21本) |
| 3人 | 27L(13.5本) | 63L(31.5本) |
| 4人 | 36L(18本) | 84L(42本) |
| 5人 | 45L(22.5本) | 105L(52.5本) |
| 6人 | 54L(27本) | 126L(63本) |
1週間分となると、かなりの本数です。保管場所も工夫して、日常生活の妨げにならない場所に置きましょう。
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非常食の賞味期限は何日くらい?

非常食の賞味期限は、一般的には3〜5年程度が目安です。期間が長いほど管理が楽になります。最低でも半年~1年程度の賞味期限があれば非常食として有効です。非常食の賞味期限が近くなったら、ローリングストックを利用して使い切りましょう。消費したあとは必ず新しい食品を補充してください。
パッケージに記された賞味期限や消費期限の定期的なチェックも重要です。適切な管理を心掛けて、緊急時にしっかり食べられる非常食を確保しましょう。
その他のよくある疑問と答え
非常食の量や賞味期限以外にも細かい疑問が出てきます。
その他のよくある質問を以下にまとめました。
- どのような場所に非常食を保管すればよい?
- 湿気が少なく、頑丈な作りで直射日光が当たらず、すぐに取り出せる暗所に分散するのが理想
(例)玄関、リビング、キッチン、寝室など - 非常食の賞味期限が切れていたら食べられない?
- 元々の賞味期限に応じて、賞味期限が切れてからも食べられる期間の目安がある
以下は、【賞味期限の期間→賞味期限が過ぎてから食べられる期間】の目安
【賞味期限2年 → 期限切れ後1か月】
【賞味期限5年 → 期限切れ後3か月】
【賞味期限10年 → 期限切れ後6か月】
【賞味期限20年 → 期限切れ後1年】 - 非常食としてアレルギーを持つ人向けの食品はある?
- アレルギー対応非常食が市販されている
- 非常食はペット用にも必要?
- 普段あげているフードで賞味期限が長いものをローリングストックするなどで対応可能
- 非常食のパッケージが膨らんでいるが大丈夫?
- 腐敗などでガスが発生している可能性があり、賞味期限内の商品でも食べることはおすすめしない
まとめ

日本は地震や台風などの自然災害が多いため、非常食の準備を強く推奨します。非常食は主食、副菜、ビタミン源・食物繊維、水の4つのカテゴリをバランス良く準備しましょう。非常食の備蓄は最低でも3日分、できれば1週間分が望ましいです。
非常食の管理は、日常生活の中で古いものから消費し、新しいものと入れ替えるローリングストックが便利です。非常食を常に新しい状態に保ち、慣れ親しんでおけるなどのメリットがあります。非常食は、湿気が少なく直射日光の当たらない場所に適切に保管しましょう。
アレルギー対応なども確認し、家族全員が安全に食べられるものを選んでください。ペットがいる家庭は、ペット用の非常食も準備しておくと安心です。非常食が必要になるタイミングは誰にもわかりません。突然の非常時は、事前に準備した非常食が命綱となります。
パニックを避けて冷静に対応できるよう、非常食の備蓄を始めましょう。
» 本当に必要な防災グッズリスト